小学校からの英語教育、OECD諸国で進む 日本との差浮き彫り

前記事では、それほど外国語教育に熱心そうでもない国の代表のアメリカでの、外国語の授業時間数と日本の英語授業時間数を比べてみました。

その結果、日本の英語授業時間数はアメリカの外国語授業時間数と大差ない、ということが分かりました。

では、アメリカ以外の国では学校でどのぐらい外国語を勉強しているのでしょうか。

 

外国語の授業時間数の国際比較

OECDの調査による加盟諸国の教育が概観できる報告書、“Education at a Glance 2014”というものがオンラインで閲覧できます。

外国語の授業時間数に関しては、分かりやすく比較できるデータとして、各国の総授業時間数に対する外国語教育の時間数の割合を出したものがありました。

このデータを基に、日本とその他の国をランダムに選び、主要5科目について表にしてみました。

 

小学校で各教科が全授業時間数に占める割合 の国際比較(%)

 

  読み書き 算数 理科 社会 外国語
日本 24 17 8 8 1
ドイツ 20 16 3 4 6
韓国 22 14 9 9 6
ノルウェー 26 17 6 7 7
スペイン 24 16 7 8 10
トルコ 30 17 5 13 5
OECD平均 22 15 7 6 4

出典:OECD, 2014 (Table D1.3a)

 

公用語が英語以外の国を適当に選んでみましたが、小学校での外国語の授業の割合はどの国も日本より多く、日本はOECD平均を大幅に下回っています

 

中学校で各教科が全授業時間数に占める割合の国際比較(%)

  読み書き 数学 科学 社会 外国語
日本 12 12 12 11 13
ドイツ 14 13 12 11 19
韓国 13 11 19 15 10
ノルウェー 15 12 10 11 9
スペイン 16 12 8 12 11
トルコ 16 14 11 8 10
OECD平均 14 12 11 10 10

出典:OECD, 2014 (Table D1.3b)

 

中学校ではどうかというと、日本の外国語の授業時間数は他の国に比べて少なくはありません。むしろOECD平均は上回っています。

中学校だけ比較すると、これだけ勉強しているのに!といえるのかもしれません。

でも、他国は外国語を小学校から始めており、スタートダッシュが違うといえます。

他国で小学校から積極的に外国語が導入されているのは、近年の、外国語の習得は低学年から行った方が効果があるという研究結果を受けて行われていると思われます。

日本においてはこのような世界的潮流への対応が遅く、効率が悪い割には中学校からの英語の授業時間が平均を大幅に上回るほど多くもない、といえます。

 

いずれにしても、当然、小学校からの合計を考えると、現状では日本の英語の授業時間数は多いとは決して言えないことは明白です。

 

PresidentOnline「オランダの英語教育事情 ~小学校卒業までに英会話をマスター」という記事で、オランダが学校での英語学習開始年齢を7歳から5歳に早めたということが紹介されています。

外国語を学び始めるのは脳が活性化する5歳からが最適で、毎日学習することが重要なため、授業時間も毎日一時間として成果を上げているということです。

上のOECDのデータを見ると、オランダは決して特殊ではなく、学校での英語の授業は今やそれが世界のスタンダードになっていることがわかります。

 

ところで、日本は、中学校での日本語の読み書きの時間が他国に比べて減少しています。

必修科目が細分化されているからかもしれません。

この表からは古典などの扱いがどうなっているのかまでは分かりませんが、日本は「その他」の割合が12%と、他国に比べてかなり多いです。

興味のある方はOECDの報告書をご覧ください。

 

 

 

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です