エッセー

海外でのバイリンガル子育て5か条

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

日本国内外で毎日子育てを頑張っている同志の皆さま、お疲れさまです。

今回は海外で日本語子育てを頑張っている方向けに、子どもの日本語を育てる上で重要と思われることについて書いてみたいと思います。

とはいっても、誤解のないように書いておきますが、私自身は素晴らしい親などではまったくなく、3人の子どもを育ててきましたが、自慢できる親力などほぼありません。

どれぐらい親力がないかというと、一番下の子が10歳近くになって、ようやく子どものことがすこーし分かってきた、という程度です。
(子どもたち、ごめんなさい)

それでもお世話になったジム・カミンス教授の教えと、周囲のすばらしいママ友たちのがんばりを大いに参考にさせていただけたおかげもあり、中高校生になった上の子たちも日本語を失うことはなく育ってくれたようです。

英語も、各種共通テスト(SATやカリフォルニア州の統一学力テストなど)や学校の成績を見る限り、(たぶんですけど)全く問題ありません。

でも、そんな親力の少ない自分だったこともあり、育児に手がかかっていた最中は、特に英語の発達について、本当に子どもたちの言語発達に問題がないのか確信が持てず、悩む時間も多かったと思います。

我が家は夫婦ともに日本語ネイティブで、バイリンガル子育てには有利ともいえる環境だったかもしれませんが、それでも、いやそれだからこそ、悩むこともいろいろありました。

そのように悩んだことも無駄ではなかったと思いますが、改めてバイリンガル子育てに対するサポートは、特に米国には少ないようだと感じられました。

上の子が生まれたのはカナダのトロントで、バイリンガルに対する支援が身近に感じられる環境だったということもあると思います。

そんな経緯もあり、サクラメント近郊でバイリンガル育児に励む家庭を応援する「さくらめんとBFF」の活動を始めたところですので、特に海外での日本語と現地語のバイリンガル子育て(教育学の専門用語では「継承日本語」ともいいます)について、大事だと思われることを5つ、書き出してみようと思いました。

継承日本語を育てるための5か条

妊娠中からバイリンガル環境を整える。

2012年に、妊娠後期の胎児も「母語を識別している」ことを示す研究結果が発表され、話題になりました。

この研究結果が母語(ここでは日本語)以外の第二、第三言語の習得にどのような意味があるかについては、さほど活発に議論されてはいない気もしますが、子どもが胎児の時から母語とその他の言語を聞き分けることができるとすれば、バイリンガルに育てたい親にとっては、その時から特に母親が意識して二言語を使用することの意義を示す、非常に重要な結果であるといえます。

パートナーと日本語以外の言語で話しているなら、声がけや歌を歌う時などになるべく日本語を使うことを意識することは、これまでに考えられてきた以上に重要な役割があると言えます。

言語は習得するもの。どんな言語でも「自然に」「容易に」できるようになるわけではないことを認識する。

「英語が苦手な日本人」に限らず、外国語を学ぶのに苦労する人は多いものです。

そしてこの中には、いわゆる帰国子女やバイリンガルは小さいころに「自然に」外国語を習得できたので自分のような「苦労」をせずに外国語ができるのでうらやましいと思っている人も多かもしれません。

でも、バイリンガル子育て経験者ならば、言葉は「自然に」「簡単に」習得できるものではないということを分かっていると思います。


そもそも英語も例外が多く、習得が簡単な言語ではありません。


英語圏にいるから子どもをバイリンガルに育てることが簡単ということは、特に日英バイリンガルにはほとんど当てはまりません。

もちろん、子どものころからバイリンガル環境で育った子どもは、大人になってから外国語を習得する人に比べたら言語習得上の利点がたくさんあります。


子どもや親、そして周囲の環境にもよりますが、「簡単」でなくても目指すことは十分、現実的だと思われます。

バイリンガル子育ては就学前が一つの山場。

「赤ちゃんへの読み聞かせはゼロ歳時から」というのは今や子育ての常識だと思いますが、バイリンガル子育てでは、就学前の母語の確立がとても重要になります。

母親が最も得意な母語の基礎をしっかり築き、それを9歳ぐらいまで維持できれば、日本語を失う例は少ないようです。

社会で使われている言語も遮断せず、日本語に触れる機会を作り、最大限に活用することがカギとなります。

バイリンガル児の言語発達は「長い目で見る」。

子育て全般に当てはまることかもしれませんが、なかなか実践が難しいのが「子どもの成長を長い目で見守る」姿勢ではないでしょうか。

バイリンガルに育つには、同じ時間、同じような質と内容の学習内容が2つの言語環境で提供される必要があります。

そのような均等なバイリンガル環境が存在することが難しい社会に住んでいる場合、発達段階でどちらかの言語が強くなることは致し方ありません。

でも少しだけ長い目で子どもの成長を見守ることができるなら、片方の言語の発達が「遅れる」ことについて、心配し過ぎる必要はないかもしれません。

もちろん、子どもの発達は一人一人異なるので、どのような状態なら「大丈夫」といえるのか、などという大まかな判断はできません。

でもそれは逆に言えば、例えば「問題」だと判断する人が、バイリンガルの発達に理解がない場合には、その判断の信頼度にも影響が出ることがあるはずだと認識されるべきです。

つまり、言語発達の遅れを問題だ、と判断された場合、その基準は何なのか、なぜ問題だとされるのか、徹底的に問いただすことが重要ではないでしょうか。

「どちらの言語も大事」という姿勢を貫く。

家庭の外の社会で、日本語とその他の言語の社会的な地位が全く台頭ということはなかなかありません。

特に子どもが就学すれば、広い社会での日本語以外の言語の重要性が、子どもの日本語への興味に影響を与えることはむしろ自然です。

この影響により、家庭によっては日本語以外の言語がどうしても強くなることがあるでしょう。

また日本人でも、自分が英語や他の言語で苦労したため、例えば子どもの英語の発音が素晴らしかったりすると、自分を卑下したり、子どもを「すごい」と考えたりしてしまいます。

もちろん、広い社会で使用されている言語ができることは重要ですが、親が両方の言語に対等な姿勢で向き合っていることを示すことができないと、子どもはそれを敏感に感じ取るものです。

子どもは親の背中を見て育つと言いますが、どんな姿勢を見せるのか、意識することは重要だと感じます。

臨界期仮説について

このようにバイリンガル子育ては、幼少期のスタートダッシュが非常に重要と考えられますが、それは第二言語を学び始める時期が遅いとバイリンガルになれないということではありません。

実際、バイリンガルやバイカルチュラルの研究では、9歳ぐらいまで母語環境で育ち、その後第二言語環境にどっぷりつかる環境だと、最もバイリンガル・バイカルチュラルになりやすいという報告もあります。

一般に外国語習得の臨界期は10歳から15歳ぐらいとの仮説がよく紹介されていますし、確かにそれ以前に二つ以上の言語に慣れ親しむ環境にいたかいなかったかで、大きな違いはあります。

でも、それ以前に外国語の学習を始めたからといって必ずしもそれより後に開始した人より外国語がうまくなるという保証はありません。

コツコツと、あきらめず、着実に。

バイリンガル子育てをできるだけ、楽しみましょう。

また、バイリンガル子育ての諸先輩方、今ただ中にいる方、皆さんが指針としたことは他にありますか? 

もしありましたら是非以下のコメント欄から、あるいはお問い合わせページからお知らせください。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

コメントを残す

*