前回は幼少期からの英語学習のデメリットについて考えてみました。

 

今回は、幼少期からの英語学習のメリットがメリットとして納得されていないんじゃないかという問題について考えてみます。

 

その唯一最大のメリットは、幼少期から英語を始めれば習得が容易、ということです。

 

でも、実はこれに対する異論も多いようです。これにはだいたい2つのパターンがあります。

 

1.幼少期から英語を学んでも、効果があるのは発音ぐらいで習得が容易になるわけではない

 

そして、

 

2.幼少期から英語を学ばなくても、後から必要に応じて習得すればよい。実際後から勉強して英語が得意になった人もいる。

 

というものです。

 

まず、1.の意見について考えてみます。

 

これは、簡単に言えば、

 

幼少期から英語を学んでも大した効果はない。

 

という意見です。果たしてそうでしょうか。

 

「幼少期から英語を学んでも大した効果はない」ってどういうこと?

 

確かに、幼児期に週一回英会話教室に通ったからといって、その子が英語を好きになるとか、将来英語が得意になる保証は全くありません。

でも、それはどんな習い事でも同じことです。

 

確かなのは、発音の習得はどう考えても幼少期から始めた方が有利ということです。

 

ではなぜ幼少期からの英語学習で発音習得だけでもさせよう!と積極的になる意見が少ないのか。

 

それは、もしかしたら、一つには、

 

英語教育における発音の重要さ

 

が一般にきちんと認識されていないのではないのでしょうか。

 

改めて指摘するまでもなく、日本の英語教育では長い間発音は重視されてきませんでした。

しかし、それは外国語教育、特に日本人が英語を学ぶ上では致命的な弱点です。

だからこそ日本の学校教育でも英語教育の早期化が進められているのではないでしょうか。

 

ではなぜ英語の発音を、「耳」から学ぶ ことが重要なのでしょうか。

 

まず、英語は日本語と比べて母音も子音も数多く、より発音が複雑です。

そして、英語は、スペリングと発音が一致しておらず、いわばその規則に例外ともいえる単語が数多くあります。

しかも、その例外的発音の含まれる単語は、ごく初歩的な、基本的単語にも多いのです。

日本人だと、ひらがなやカタカナを一通り覚えると、本を読むことは難しくありませんが、英語はそうではありません。

(内容を十分理解しているかどうかはまた別のこととします)

英語圏で英語を聞き、話して育ってきた子どもが学校で英語の読み書きを習うときに、スペリングは丸暗記していく単語も多いのです。

例えば night で gh は発音しないなど、覚えるしかないといえます。

 

つまり、英語を勉強するとき、まずスペリングを見て、英単語を日本語発音しながら覚えていくと、せっかく知っている単語でも耳から聞こえてこないという結果になります。

 

また、最近では、英語の日本語発音を矯正することで英語のリスニング力向上につながる、という英語学習方法も提唱されています。

 

私は特定の英語学習方法を特に推奨しているわけではありませんが、このような学習方法が効果的だと評価する人が多いところをみると、発音が英語学習において重要であることが分かるとは思います。

 

こう考えると、1.の、幼児期からの英語学習には、発音ぐらいにしか効果がない、やっても無駄、という意見は、日本人の英語を英語らしく発音することに対する抵抗感を表しているようにもみえてきます。

 

 

では、

 

2.幼少期から英語を学ばなくても、後から必要に応じて習得すればよい。実際、後から勉強して英語が得意になった人を知っている

 

という意見はどうでしょうか。

 

本当に「幼少期に英語を学ばなくても後から習得可能だからよい」のか?

 

これは、勉強してできるようになるべきことは全て個人の努力次第、ということをいっているといえます。

 

また、前提に、英語は皆ができなくてもよい、という考えがあるようにみえます。

 

日本語の発達こそがまず大事だという考えもみえます。

 

これらは尤もな意見です。

 

特に日本語(母語)の発達こそ大事である、ということは強調しすぎることはないとさえ思います。

日本語の発達が危うくなるような早期学習は決して推奨されてはなりません。

 

しかし、英語を後から勉強して、努力次第で英語ができるようになるならば、なぜ日本で英会話学校などの英語産業がこれほど流行るのでしょうか。

 

そうではないから英語教育の改革が進められているのではないんでしょうか。

 

必要に迫られればできるようになる、というのはそうかもしれません。

 

でも、英語の必要性に迫られるよりもっと早くから英語ができるようになっていれば、後からこれほど苦労しなかったのでは、と思っている人々も多いと思います。

 

そして、今は、英語の必要性というのが、あるとき突然、誰にでもやってくる可能性のある、グローバルな時代なのです。

 

英語ができなくても海外旅行ぐらいできるのはそうかもしれません。

 

でも、そういう時に何かアクシデントがあったら、英語が分かるのと分からないのでは生死を分けることもあるかもしれません。

 

全て教育の成果は個人の努力によるものでしかない、としても、幼少期に少しでもメリットがあるとはっきり分かっている教育の機会を広めていかないのは、結局不公平ではないでしょうか。

 

ちなみに、英語を習得するといっても、当然、個人によって目標とするレベルは様々です。

 

世界的に活躍する日本人でも英語で苦労している人は大勢います。

 

無理がない程度にスタートが早い方が、そのハードルは下がるはずだと思います。

 

外国語学習の「臨界期」について

 

下のグラフは、こちらで紹介するKuhl教授のビデオの中のスライドです。7歳までだと、外国語習得が容易だということが示されています。

10歳を過ぎたあたりからスコアがかなり落ちて見えます。

ただし、どのようなテストで、これだけ年齢差のある人々の外国語能力をどれだけ正確に計れるものかは議論の余地があります。

 

 

下は全く別の統計ですが、米国に移民した人の年齢別に、英語能力のテストの点数をグラフ化したものです。

英語習得の容易さを示すグラフとして、上のグラフとかなり似た曲線を示していることは間違いありません。

 

Fig. 5.

 

(“Economic, neurobiological, and behavioral perspectives on building America’s future workforce”

by Eric I. Knudsen, James J. Heckman, Judy L. Cameron, and Jack P. Shonkoff

PNAS 2006 103 (27) 1015510162)

 

ただし、もちろん、ただ英語のCDやDVD、英語学習のためのスマホのアプリを聞かせても効果はほとんどありません。

 

それどころか、そのような育児には大きな問題があります。

 

幼少期からの英語学習は、どうしてもまずCDやDVDでスタートすることになります。

 

ですから、その後も段階的に無理なくサポートしていくことは重要です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[`evernote` not found]
Pocket