アメリカでバイリンガル子育て(1) 家庭で育てる日本語 【継承日本語】

補習校に通わず、ホームスクーリングで育った日英バイリンガルのケース(前編)

バイリンガル子育てが大変なのは、当然ですが子どもが2か国語を使う環境を整えるのが難しいことがよくあるからです。

ここ米国では日本語はマイナー言語であるうえ、外国語を学ぶ意欲の高い人も少ないお国柄。
また、こちらにも書いてある通り、以前はバイリンガルに対して、今よりももっと偏見も多かったのです。

最近では日本への訪問者や働く人の増加、アニメや芸術、料理や製品、さらにはコンマリなどのハード・ソフト両方の浸透もあり、日本を見る目は一昔前に比べればかなり穏やかになり、敬意も感じられることも多くなったような気がします。

インターネットの発達もバイリンガル子育てには利点しかないようにも思えます。

では日本語と英語のバイリンガルに育てることも簡単になったのでは??と思うのですが、どうやらそうでもない。

なんででしょうね。

理由はいろいろあると思います。

そんな中、米国で補習校などに通わず、家庭で2人のお子さん(姉弟)の日本語を育て、日英バイリンガルに育てた先輩保護者にお話を聞く機会がありました。

以前、「バイリンガル子育ての会」を開催した時に伺ったものです。

その時の内容をインタビュー形式にまとめてみます。

新型コロナウイルス対策で、家庭学習の比重が大きくなる中、何かのヒントになるかもしれません。

6歳と4歳までは日本

-まず、お子さんがいつから英語圏で生活を始めたのか、そしてそのころの家庭環境について、ざっくり教えてください。

  • 娘6歳、息子4歳のころにDavisに家族で移住してきました。
  • 両親が日本人で、家庭内は日本語でした。
  • 週末は家族でアウトドアをして過ごしたかったため、補習校には一日も行かなかった。
  • 当時(1990年代)考えられる、あらゆる方法を使って、家庭で日本語と英語を育てたと思います。

―つまり、娘さんは日本で幼稚園に通い、小学校にも入学して、そこまでは日本語のモノリンガルだったわけですね。ある程度、年齢相応に日本語も読んだり書いたりしていた。息子さんも4歳ですが、お姉さんもいるし、日本語環境は豊かだったでしょうね。まだ読み書きはあまりしてなかったかもしれませんが。

毎日、日本語・英語両方を勉強する習慣を小学校入学前後には確立

―それにしても「当時考えられる、あらゆる方法」というのが、すごそうです(笑)。具体的にはアメリカで、どのように家庭で日本語を「学習」(楽習?)させたのでしょう?

  • 小学校低学年~中学年ぐらいまでは毎日時間割を決めて、学習の習慣をつけました。
  • 2人いるので、小さい頃は自分が1人ずつしか勉強をみられないので、1人の勉強をみているときには、もう1人はCDやiPodに入れた物語を聞くようにさせていました。
  • 日本語の読み物の音源は日本の図書館を利用、英語はこちらの図書館のaudio/CD bookを使い、日本語と英語の両方の読み聞かせを毎日、やっていました。

―つまり、お姉ちゃんについては小学校入学までの、日本語の基礎がある程度できているところで、さらに日本語を伸ばすこと、さらに第2言語である英語の習得を目指した、という感じですね。

―日本語学習のための教材はどんなものを利用されましたか?
 今と違って素材も限られていたのではないかと思うのですが。

  • 親がみる勉強は、教科書に沿った海外子女教育振興財団の通信教育や、その他の通信教育をいろいろ試しました。
  • 教科書ももちろん入手。
  • 公文もやりました。日本からまとめて送ってもらいました。
  • 公文からは子ども向けの推薦図書のリストが出ているのですが、それを参考に、絵本をそろえました。
  • 子どもが好きな本は、英語と日本語、両方手に入れました

―本当に、当時手に入る教材、ありとあらゆるものを使われたんですね。すごいです。

―公文は、ずっと続けましたか?

  • 公文はアルファベットで段階が設定されているのですが、娘は「J」まで、息子は「F」まで終了しました。
  • 公文では、物語の一部が内容理解の問題として使われているので、子どもが続きを読みたがることがありました。それもあって公文の推薦図書リストを利用して、本をそろえました。

―言葉を育てるには、本を読むことがとても重要だと思うので、物語を読むきっかけとなるのは、とてもよさそうですね。

毎日の時間割作成には教科書ウェブサイトも利用

―時間割というのは、ご自身が一人で考えて立てられたのですか?

  • 教科書の出版社のウェブサイトに、教員向けの資料のようなページがあったので、それも参照しました。単元のポイントが書いてあったりしました。

―日本の教科書は、理科や社会など、案外ポイントがわかりやすく書かれていなかったりしますしね。それって、まさに補習校の教員がやることですね。

 補習校に通わず、自ら教員役をなさった、ということですね!

―でも、時間割をたてて、よくそれを守れましたね。我が家ではお互い、だんだん甘くなってしまったりするのですが。

  • 当時はアパートに住んでいて、夏になると近所の子どもたちがアパートのプールに入ろうと誘いに来たりするんだけど、時間割が終わったら行っていい、ということにしていました
  • 当時は、家の中にゲーム機がなかったのもよかったかもしれない。

―そうですね。今はスマホまであって、子どもがゲームができるデバイスに触れる機会も増えてしまいましたよね。

 親がある程度コントロールできる小学校低学年までのうちに、学習習慣、ここでは日本語と英語の学習習慣をつけることが重要そうですね。

 (続く)

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