「英語を学ぶ意義」を語る意義

前に、(日本人が)英語を学ぶ意義という記事を書きました。

その後、NPRを利用した英語学習活用について記事を書いているとき、日本に英語上級者・プロフェッショナル向けの英語コミュニティ、Vital Japanというものが存在することを知りました。

キャッチフレーズは「日本最大級の英語コミュニティ」。首都圏などで勉強会を開催しているようです。このメンバーは1万人だそうで、詳細は直接知りませんが、仕事に必要で英語の勉強に励む社会人は減ることはなさそうです。

そんな時代、英語を学ぶ(効率的に)意義を強調する必要もないかなと思うのですが、英語をそれほど学ぶ必要はない、という意見の人は、そのような英語を仕事で必要とする人も、日本人全体から見れば数パーセントにすぎない、などという議論をするものです。

そう考える人がいるという現実があるとき、英語を学ぶ意義について、実際に英語ができるというか、読める意義を実感することがありました。

英語を学ぶ意義はまだ他にもあるということ、やはり書いておこうと思います。

 

「子宮頸がん」を予防できるHPVワクチンについて考えるための情報収集

 

そこで、突然ですが、HPVワクチンの話です。

思春期のお子さんのいる親やその周辺では、子宮頸がんを予防するというHPVワクチン接種について悩んでいる方も多いと思います。

予防接種に関しては、どの国にもいろいろな意見の人がいますが、ざっくり分けて「推奨派」と「懐疑派」がいます。

予防接種と副作用の関係の実証は難しく、重篤な副作用と言っても、関係性が認められるのはごく一部のようです。

実際、以前英語圏で自閉症が予防接種の副作用だという説に基づき、裁判も多く起こされましたが、その科学的根拠となっていた論文はねつ造されたもので、結局その関係性は否定されています。

(一部関係性が肯定されたとも解釈できる裁判もあったようですが、単純な話ではないのでここでは触れません)

この影響で、アメリカなどでは予防接種を受けない子供が増え、はしかやおたふくが大流行したりする事態も発生しています。

でも、HPVワクチンの場合は、「がん」が予防できるというのです。はしかやおたふくでも、命に危険が及ぶ子供がいるから予防接種があるのですが、HPVワクチンは誰もが恐れる、「がん」です。

そんな朗報なのに、ひどい副作用がニュースになっている。

親としては悩まないわけにはいきません。

ただなんとなく、ワクチンへの恐怖感から、娘に接種をさせず、その後、娘が子宮頸がんになったら、親としては後悔せざるを得ないでしょう。

かといって、接種させて娘が学校に行けないようなひどい副作用を起こしてしまったらやはり後悔します。

後悔するような選択をしたくない、というのが基本原則だとしたら、親はどうしたらいいのでしょうか。

実際に副作用と思われる被害にあった人の話を聞いても、参考になる情報は得られません。かといって、ワクチンを販売している製薬会社や、それを認可した政府の情報も十分に信頼できるとは思えません。

 

客観的な情報収集ツールとしての英語

 

それでも、医学の知識もあまりない、普通の人が、自分で判断するために必要なのは、より確かな情報ではないでしょうか。

でも、このように「推奨派」と「懐疑派」に分かれている議論では、偏っていない意見、あるいは科学的事実というものを探し出すことが難しいです。

例えば、懐疑派の人が引用する、長年HPVワクチンの開発に関わったというダイアン・ハーパー博士。

彼女は、マスコミに取り上げられた時、HPVワクチンは安全だとはいえない、ということを言っていたのです。しかし、そのようには言っていない、と後で本人が訂正しています。

まだ新しいワクチンに対し、科学者として断言できることがまだあまりないのではないか、ということが分かるような気がします。

でも、じゃあ実際には、今現在、博士の知っている科学的事実とは何なのか。

オンラインで日本語に翻訳されているものを見る限り、情報はとぎれとぎれであまりよくわかりません。

ちょっと検索してみれば、ハフィントン・ポストの英語版に、少し前のものですが博士の見解が掲載されていることが分かります。日本語訳は少なくともすぐには見つかりません。

推奨派と懐疑派のどちらかが都合のいいように引用したものではなく、博士本人が一般向けに、彼女が宣言できることを書いたものです。

こういうものを見つけて判断材料にできるのは、英語ができる利点といえます。

そもそも、英語圏で開発されたワクチンですし、医療関係の情報は英語が圧倒的に多いのが現実です。

 

英語の情報量は圧倒的に多い

 

もちろん、英語で書いてあるものにも、明らかに偏った見解を書いているものもあります。

例えば、アメリカにはNational Vaccine Information Centerという団体があります。Nationalなんてついているので、政府機関かと思いますが、「全国」規模の非営利団体で、有名な反ワクチン団体です。

そのような団体の言うことは、バイアスがあるだろうというぐらいのことはわかっていなければ、判断材料として利用するのは難しいかもしれません。

また、英語の政府系の情報がバイアスがないというわけでは決してありません。

でも、アメリカの連邦機関である疾病予防センター(CDC: Center for Disease Control and Prevention)の情報などは、豊富でわかりやすいと思います。

 

例えば、CDCの親向けに書かれた、よくある質問と回答をざっとみれば、

 

・HPVウィルスに感染しても、90%は自然に治る

・HPVワクチンの効果は少なくとも8-10年と(データのある科学的根拠に基づいて)考えられる

・HPVワクチンの安全性を確認するため、何年にも渡って臨床試験が行われ、3種類のワクチンに対して3万人、2万9千人、1万5千人という規模の参加があり、問題がなかったこと。

・実際にワクチン接種を開始してから、HPVの感染率は激減したこと

 

などが「事実」としてあることはすぐわかります。

 

日本の厚生省の公式見解と、懐疑派の意見を理解した上で、英語で書いてある意見も参考にすると、自分が何に基づいて判断したらよいのか、という結論を出しやすくなります。

英語の情報には、その事実がどのような形で科学的に裏付けられているのかということも探しやすいので、自分で納得できる結論が出しやすいと思いました。

納得できる決断をするために必要なのは、できるだけ客観的な、より幅広い情報でしょう。

項目に分けると、以下のようなります。

 

・ その病気にかかる率 (様々な社会的要因は自分で付け加えて考える)

・ その病気にかかった場合の生存率

・  予防接種で発生率がどれだけ低下するのか

・ 予防接種だけでどれだけ予防できるのか

・ 予防接種の効果の持続期間

・ これまでの臨床試験の参加者の間での副作用報告(またそれがどれだけ信用できるのか)

 

そしてこれらの情報は、ある程度英語ができれば入手可能です。

 

日本では、「英語が大事だ」と思っている人も、「もっと外国人と対等に話せるよう、英会話が大事だ」という発想になってしまう人が多い気がします。

大学で、「英会話」のクラスを行うとか、ただ「英語ネイティブの教員を増やす」という方針もよく見られます。

でも、本当に英語が重要なのは、このような情報収集とか、英語で批判的に考える力ではないでしょうか。

 

まとめ

 

長くなったのでまとめると、英語で、特にオンラインで情報を得る利点は

 

・医療情報などは、日本語より英語の方が明らかに情報量が多いこと

・英語の情報でももちろんバイアスはあるが、客観的事実をオンラインで比較的見つけやすいこと

日本語の情報に加えて、自分の必要な情報を収集していけるので、自分の思考の整理に役立つ

 

ということです。

 

<追記>

 

ちなみに、性に開放的といわれる北欧ではどのような状況かと思ってちょっと調べたところ、ノルウェーについて以下のような記事がありました。

 

「HPVワクチンで重篤な副作用はみられず」

-“No serious side effects from HPV vaccine” from ScienceNordic

 

ここがどのような団体か、どこまで信用できるかはそれぞれが判断するしかありません。

実際、コメント欄も反対意見がいっぱいです。

悩ましい日々はまだまだ続きそうです。

 

 

 

 

 

 

 

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