アメリカで子育て

バイリンガルの母語について考えよう! おすすめの読み物3選

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日本語維持は「親のエゴ」なのか

子育てに忙しいみなさま、大変お疲れ様です。

海外で子育てをしていると ときどき耳にする、
子供に「日本語をやらせるのは親のエゴ」だから
というフレーズ。

昔からどうも違和感がありました。

その理由について少し考えていたのですが、物心ついてから「多言語を育む家庭のイメージ」を持ったのは、この本↓ がきっかけだったことが、もしかしたらその違和感の元となっているのかもしれないと思いつきました。

いつ読んだかはっきりした記憶はなかったのですが、確認してみると出版は1986年。
この表紙もよく覚えています。
つまり初版が出たころの大学入学前後だったのかなと思います。
亡父は本好きで、特に文学・言語学分野で気になる本があるとすぐ買ってくる人でした。
父の蔵書にあったのでそれを読んだのだと思います。

筆者は文中、子供には多額の財産など残せそうにないので、言語を「あげたい」と思ったというようなことを書かれていたと思うのですが、それが心に残っていました。

つまり、自分が伝えられる言語=子供の財産、という視点です。

「一人一言語」の方針にのっとり、息子さんを英語とスペイン語と日本語のトリリンガルに育てた記録で、当時の日本ではかなり珍しい試みだったのではないかと思います。

このころはもちろん、自分がその後、家族を持って海外で子育てをし、継承日本語について考えることになろうとは、思ってもいませんでしたが、超優秀な友人たちに囲まれ、もうちょっと英語ができるようになりたいと思っていたころであり、非常に印象深い本でした。

その後読み返していないので、再読しなければ詳細を語ることはできませんが、
マイノリティ言語を子供に伝えるのは「親のエゴ」というのとは
いわば 反対の視点 から書かれていると思います。

(もちろん、マイノリティ言語が世界的にみてどうなのかという問題もあり、
またこの一家の場合、「母語」ではないマイノリティ言語でお子さんを育てているわけですが
その議論はとりあえず横に置いておきます。)

ロバート・キャンベル氏の視点

最近、ロバート・キャンベル氏が沖縄の歴史と文化と言葉について、ウクライナとからめて書かれているものがあるのも見かけました。

 

 

新日系二世と母語について

新日系二世に母語としての日本語維持が大事、と言う中島恒久さんのツイートに関する記事はこちらです。

母語は維持しなきゃダメなのか

このような本や記事を紹介すると、「母語を維持できなかったらダメ」といわれているように思ってしまう人もいるかもしれません。

でも、海外で母語を維持し、育てることはとても大変です。
いろいろな環境や条件が整わなければ困難ですし、
ましてや親一人の責任であるようなことはありません。

でも、どんな環境や条件が必要なのか、よく分からないまま、
色々なデータも理解することなく
とても限られた、自分のまわりでよく見かける視点や意見だけを参考にして
母語維持という問題について考えるのは

ちょっともったいない気がします。

 

もちろん、母語維持がそれほど大事ではない という考え方もあり、
当然、各家庭がそれぞれ自分たちの道を考えていく必要があると思います。

でもその道は  日本語の維持か、非維持か の二択ではありません。

子供や社会との関係を考えつつ、考慮すべき点はいくつもあります。

また、母語維持が「エゴ」だと感じるのは 周囲の社会にまだまだ、
母語維持にややネガティブな印象を持っている人が多く、
そのような見解を支持するデータや見解が流布しがちなことも
影響しているのではないかと思います。

 

だれでも自分の置かれた環境の中でできることを選択していきますが
納得した上で、ブレずに選択するのと
そうでない、何かに強いられた選択をするのでは
その後がかなり違ってくるのではないかという気もします。

今は日本語を話さなくても 話していることは大体わかり、
かつ日本的な情緒も感じさせる、素晴らしい英語の文学作品を世に送り出している
ノーベル文学賞受賞作家、カズオ・イシグロ氏の例もあります。


彼が育ってきたころの英国でのバイリンガル子育ては、ほぼ不可能だったことでしょう。
それでも言っていることが分かるというのはpassiveではあれ立派なbilingualであり、
自分から話すことは難しくてもバイカルチュラルに育ち、その才能を見事に開花させたわけで、
それはかなり特殊な例なのではないかとも思います。

御家庭では日本語を「維持」することに注力しなかったかもしれませんが
日本の文化が尊重されていたのではないかと想像してしまいますがどうでしょうか。

(もし何かご存じの方がいらっしゃいましたら、コメント欄からでも
教えてくださると嬉しいです。)

 

大変な世の中ではありますが、偏見に満ちた極端な意見ばかりを気にして、
後で後悔することだけはないよう、
家族にとって、子供にとって各家庭が最適な選択ができることを願っています。

 

 

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