ヨーロッパの語学力評価基準に「ヨーロッパ言語共通参照枠」 (Common European Framework of Reference for Languages、略してCEFR・セファール) があります。
日本の英語力診断テストでよく知られている英検やTOEICとの対照表などの中で、英検1級よりも上の基準がある評価基準と紹介されていることもよくあります。
CEFRの基準を満たしているかどうかは、それに対応したレベルのテストを受けて判断されるわけですが、「自己評価」の基準というものもあります。
“The DIALANG Scales”(DIALANG評価基準)といわれるもので、CEFRの基準とほぼ対応していますが、英語で「何ができる」かが、読む、書く、聞くの各分野でさらに細かく1つ1つの項目で書かれています。
いわゆるCAN-DOリストです。
CEFR対応のDIALANG評価基準は、英語能力を自己評価する際に、とても参考になると思います。
完璧に翻訳したつもりはありませんが、日本語版を以下に作成してみました。
どのような能力があるとどの程度の英語力と言えるのか、自分の英語力の現状を把握し、目標を設定する際に参考になると思います。
出典の “Common European Framework of Reference for Languages: Learning, Teaching, Assessment” の英語版はこちらからPDF版で入手できます。
DIALANG 英語能力自己評価スケール
(読む・書く・聞くのCAN-DOリスト)
出典: “The DIALANG Scales,”
in COMMON EUROPEAN FRAMEWORK OF REFERENCE FOR LANGUAGES:
LEARNING, TEACHING, ASSESSMENT, Council of Europe,
translated summary @funwithabc.com
Reading
A1
- 単純な情報の含まれた文章をだいたい理解できる。特に説明に図が添えられているとわかる。
- 身の回りによくあるものの単語や名前、簡単な言い回しが分かる。
- 簡単なハガキのメッセージなどがわかる。
A2
- ごく日常的な語彙で書かれた、簡単な文章や、仕事に関連した文章が理解できる。
- 日常的にみかける広告やパンフレット、メニューや時間割などから必要な情報を得ることができる。
- 簡単な手紙やファックスを理解できる。
- 簡単な説明書を理解できる。
B1
- 自分に興味のあるテーマの、単純な文章が理解できる。
- 手紙、パンフレット、公的なお知らせなどから、日常生活に必要な情報を得ることができる。
- 仕事をする上で必要な、長い1文あるいは短いいくつかの文を長い文章の中から見つけ出して理解することができる。
- 身近な話題の、簡単な新聞記事の要点が分かる。
- はっきりした意見を述べた文章の、結論が何かわかる。
- はっきりと書かれた、機器の取り扱い説明書を理解できる。
B2
- 自分に興味のある分野でのやり取りを読んで、重要なことをすぐ理解できる。
- 辞書があれば、自分の分野外の専門的な記事を理解できる。
- 色々な種類の文章を簡単に読める。
- 読むために必要な語彙があるが、時々、日常的に使われない単語や言い回しがあると困難に感じる。
- 様々な専門的テーマに関して、新聞や報告書の内容がわかり、自分に関連することかを判断できる。
- 現代的な問題に関して、意見や見解を述べている記事や報告書を理解できる。
C1
- 時々辞書を使えば、手紙などのやり取りは理解できる。
- 長く、複雑な新しい機会の説明書や、自分の専門外のことについての手順など、難しいところも何回か読み直せば理解できる。
C2
- 小説、ノンフィクションを問わず、抽象的で構成が複雑な文章や口語的な表現の含まれた文章も理解できる。
Listening
A1
- はっきり、ゆっくり、繰り返して言われれば簡単で具体的な日常的表現を理解できる。
- ゆっくりと間を置いたスピーチを理解できる。
- 短く、簡単な質問、説明、指示などを理解できる。
- 数字、値段、時間が分かる。
A2
- それほど苦労せずに、簡単な、よく使うやりとりができる。
- ゆっくり、はっきりと話されていれば、自分の周りの議論のテーマがだいたいわかる。
- よく知っている話題に関して、はっきりと普通に話されればわかる。実際には聞き返して、言い換えてもらったりしなければならないこともある。
- はっきりと、ゆっくり話してもらえれば、日常生活で困らない程度に理解できる。
- ごく基本的な要求に関する言い回しや表現を理解できる。
- 店や郵便局、銀行などで簡単な目的なら達成できる。
- 徒歩や公共機関を用いる場合の、簡単な道順の説明を理解できる。
- テレビのニュースで、イベントや事故について映像と共に報道されているとき、要点がわかる。
- 短い、単純なメッセージやアナウンスの要点がわかる。
B1
- なじみのあるテーマに関することだったら、文脈から知らない単語を時々推測して、内容を理解できる
- はっきりと、標準的な言葉で話されていれば、議論のポイントについていける。
- 普通の会話の話題についていける。実際には聞き返して、言い換えてもらったりしなければならないこともある。
- はっきりと、耳慣れたアクセントで話されれば、日常的な、簡単な事実に関する情報や仕事に関連した話題の大体の意味や、特定の詳細情報を理解できる。
- なじみのあるテーマで、プレゼンテーションの構成も分かりやすく、明確であれば、自分の分野の講演などを理解できる。
- 日常的に利用する機械の説明などの、簡単な技術的情報を理解できる。
- 比較的ゆっくり、はっきりと話されれば、なじみのあるテーマに関する録音からほとんどの情報が理解できる。
- 話が単純で、言葉がはっきりしている、多くの映画を楽しめる。
- スピードが比較的ゆっくりで、はっきりと話されていれば、なじみのある話題や、個人的に興味のある放送などの要点を理解できる。
B2
- 普通に話しかけられれば、詳細まで理解できる。多少騒がしい場所でも大丈夫。
- 自分になじみのある話題でも、そうでなくても、日常生活や学校、職場などで、生あるいは放送の話ことばが理解できる。騒音がとてもうるさかったり、文の構成がはっきりしない場合や、イディオムが分からないときにだけ困難を感じる。
- 自分の専門分野の技術的議論を含め、標準的な言葉で話されている、具体的・抽象的テーマについての、複雑な話し言葉の要点を理解できる。
- 複雑なアイディアや言葉が使われている講演や報告などのプレゼンテーションの論点を理解できる。
- 普通のスピードで、標準的な言葉で話されれば具体的・抽象的テーマの発表やメッセージを理解できる。
- 標準的な言葉で話された録音・ラジオなどのドキュメンタリーはほぼ理解できる。話し手のムードや声の調子も理解できる。
- 標準的な言葉が使われていれば、テレビのニュースや、ドキュメンタリー、インタビュー、トークショー、ドラマ、映画などはほとんど理解できる。
- はっきりと構成されていれば、自分の分野の講演や発表を理解できる。
C1
- ネイティブ話者同士の、生き生きした会話についていける。
- 自分の分野外の、抽象的で複雑なテーマに関する話題を十分理解できる。アクセントが分かりづらい場合などは、時々、詳細について確認する必要はある。
- 慣用句(イディオム)や口語もよくわかり、フォーマル、インフォーマルなどの話し方の違いも分かる。
- 構成がはっきりしない話や、アイディアのつながりが明確に述べられなくても、長い話についていける。
- ほとんどどんな講演、議論、討論でも比較的容易に理解できる。
- 質が悪い公共放送からでも、特定の情報を得ることができる。
- なじみのある製品やサービスの説明や詳細などの、複雑な技術的情報を理解できる。
- 標準的でない話し言葉を含んでいても、様々な録音素材を詳細まで理解できる。
- スラングや慣用句が多い映画を楽しめる。
C2
- 口語的表現や方言、あるいはなじみのない専門用語を多用する専門的講演や発表を理解できる。
Writing
A1
- 友達に簡単なメモを書ける。
- 住んでいる場所について書ける。
- 書式に個人情報を書き込める。
- つながりのない文や語句を書ける。
- 簡単なハガキを書ける。
- 辞書を使って短い手紙やメッセージが書ける。
A2
- イベントや活動について、短い、基本的なことを伝える文章を書ける。
- 感謝や謝罪を表す、簡単な個人的な手紙を書ける。
- 日常生活に関する、簡単なメモやメッセージを書ける。
- 計画や段取りを説明する文章が書ける。
- 家族、生活状況、学校、プレゼント、最近の仕事について書くことができる。
- 過去の活動や個人的経験について書くことができる。
B1
- 決まり切った事実情報と、とった行動についての理由などを含めた、ごく短い報告書が書ける。
- 自分の経験や感情の詳細をつづった、個人的手紙が書ける。
- 例えば、事故など、予期しなかった出来事についての基本的情報の詳細を書ける。
- 夢や希望、野心について書ける。
- 問い合わせや問題などに関するメッセージを受けることができる。
- 本や映画のあらすじと自分の感想を書ける。
- 意見や計画、行動について短い理由や説明を書くことができる。
B2
- ある問題に対するいろいろな考え方や解決方法を評価できる。
- 様々な情報源から情報や議論を統合することができる。
- 理論だった一連の議論を構成できる。
- 原因や結果、仮説としての状況についての推察ができる。
C1
- 裏付けとなる点、理由、関連する例を添えて、自分の意見を展開し、支持することができる
- 重要な点を強調し、関連する裏付け事項の詳細を添えて、議論を体系的に展開することができる。
- 複雑なテーマに関して、明確に詳細を記述できる。
- 大抵、辞書がなくても書くのに不自由しない。
- 重要な文章だけチェックしてもらえれば、書くことに問題はない。
C2
- 読み手に重要な点が分かりやすいように、適切で効果的な、論理的構成を考えて書くことができる。
- 事例について、あるいはプロポーザルや文学的作品の批判的評価について、わかりやすく、なめらかな流れの文章で、複雑な論文や記事を書くことができる。
- ネイティブ話者にチェックしてもらわなくてよいほど上手な文章が書ける。
- 作文の先生が手直しをしても大きな改善はないほど、上手に文章が書ける。