アメリカの学校・図書館の読書奨励プログラム

子どもの読書離れが報告されてから久しい今日この頃。

米国でも悲しいかな、同じような傾向があるようです。

日本でも、学校で毎日読書の時間を設けたり、図書室だけではなく学級文庫もそろえたりなど、様々な対応策が行われていると思います。

図書館では「読書通帳」という試みが導入されたりしているようですね。
これはやってみたいですw

おそらく、こちらの図書館でも頼めばデータを打ち出してはくれる気もするのですが…。

米国の特に小学校では、学校でも自宅でも、隙間時間なども利用して、できるだけ多くの時間を読書にあてるようなアイディア溢れる実践が目につきます。
夏休み向けの、(在米なら)誰でも参加できる読書奨励プログラムもあります。

今回は日米学齢期の子どもの読書の傾向にも迫りつつ、アメリカの現地校や図書館の読書奨励プログラムについて書いてみます。

日本の小学生の平均読書数は?

日本の子どもの読書調査は「月に何冊」(あるいは週に何冊)読書をするかという質問でデータを取ることが多いようです。

「学校読書調査」

学研の「小学生白書」

のアンケート結果によると、小学生の読書冊数は平均月5~10冊程度になるようです。

1週間にすると1、2冊とちょっと。

小学生と言っても6~12歳ですから、低学年と高学年では読む本の厚さも変わってきますし、冊数で言うとあまり多くないけれどそのようなものかな、と思えます。

良く本を読む子どもは月に10冊以上、読まない子は全く読まない、といったところかと。

アメリカの小学生の平均読書数は?

一方アメリカの児童書出版社大手Scholasticの読書アンケートは、月・週に何冊読むかではなく、「週に何日、(宿題などとしてではなく)自分の楽しみとして読書をするか」という質問をしています。

このデータの取り方だと、楽しみで読書をする日が

週に5~7日=読書頻度が高い子
週に1~4日=読書頻度が中程度の子
週に1日以下=読書をほとんどしない子

という風に読書頻度が多い・中程度・少ない子どもの割合の推移を見ています。
対象は6~17歳の子どもです。

この調査結果からは、読書頻度が中程度と高い子を合わせた割合が、2010年には8割近かったのが、2018年には7割を少し超えた程度へと、徐々に減少していることがわかります。


それでも、週に何日かは、楽しみで読書をする日があるという子どもが、小学生から高校生までを対象とした調査で、7割程度というのは、結構多い気もします。

ですが6~11歳の小学生程度では、この読書頻度が高い子どもは年に44冊ぐらい本を読むとのこと。
つまり1か月に4冊弱

読書頻度が低い子どもはほとんど読まないわけですから、冊数では日本より少ないようです。

ただ、アメリカでは、宿題で本を読むことも大変多いので、それを合わせると、アメリカの方が冊数やページ数では日本より多くなると推測できるかもしれません。

でも、アメリカ人の大人も本を読まないのだから、子どももそのモデルに倣っているだけだろう、という指摘もあります。

そんなわけで、日米どちらでも、本を読む習慣を子どもたちに伝えていくことは緊急課題のようです。

アメリカの読書奨励プログラム

アメリカの多くの学校では、小学校低学年では、とにかく何冊も読ませることを目標とするプログラムがあります。

我が家の子どもたちが通った学校には

「Books Count!」

というプログラムがありました。

キンダー(日本の年長、米では多くの学区で義務教育にあたる)から小3までの生徒を対象に、とにかく家で好きな本を読んで記録させるというもの。

8月末に学校が始まって、生徒が落ち着いてきて、最初の通知表をもらう11月半ば、保護者に日付と本の題名、親のサインをする欄がある簡単な記録帳が渡されます。

薄い本は1冊につき、少し長くて章に分かれている本(chapter book)は一章につき一つの欄を使用して記入します。

バイリンガルの子どもは、もちろん、どちらの言語の本を読んでも構いません。

節目となる25冊、50冊、75冊(章)に到達すると、小さなご褒美があります。
最初は消しゴムとか、シールとかの本当に小さなものですが、だんだんご褒美もアップグレードされて、自分の顔写真入りのバッジのようなものがもらえたり、最後には校長先生とのピザパーティに呼ばれたりします。
アメリカ的ですね。

最高は400冊(章)で、4月ごろまで継続します。

キンダーでも、400に達する子も結構います。
2年生以上になると、章に分かれていても簡単な本がたくさんあるので、400に到達するのはそれほど難しくなくなります。

まじめな日本人にはただ読めばいいのか??との疑問も出てくると思いますが、楽しく読む習慣をつけることを奨励するという意味では、割と成功しているプログラムなのではないかと思います。
それプラス、このプログラム運営に協力的な保護者がいるかどうか、が重要です。

今は、これのさらに年少版の、キンダーまでに本を1000冊読む、あるいは読み聞かせることを目標とするという「1000 Books Before Kindergarten」というプログラムもあります。

アメリカの夏休み読書奨励プログラム

夏休みには、各地の図書館で、1冊、1時間、あるいは1日読書したらマス目を埋めるなどして読書活動を記録し、ある程度達成できるとご褒美がもらえたり、くじ引きに参加できたりというプログラムがあります。

下↓は地元図書館のご褒美。

アメリカ夏休み読書プログラム

ピザなど、地元レストランの子供向けメニューの食事券のようなものをもらえるだけでも、やっぱり嬉しいようです。

またScholasticは、オンラインで個人でも参加できる夏休みの読書奨励プログラム

Read-a-Palooza Summer Reading Challenge

というのも開催しています。

在米家庭が対象ですが、9月6日まで実施中のようなので、我が家も参加してみようかと思います。

各家庭でもこれらを参考に読書プログラムを作れそうですね。

読書ばかりというわけにもいきませんが、夏休みもあと少し、頑張って乗り切りましょう!

 

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