アメリカ事情

カリフォルニア大学のインクルーシブ教育:UC DavisのRedwood SEED Scholarsプログラム

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アメリカの大学でのインクルーシブ教育とは

アメリカの公教育では、発達障害や自閉スペクトラム症を含む障がい児が、日本のように特別なクラスにほぼ必ず振り分けられるのではなく、他の子供たちとできるだけ一緒のクラスで過ごす権利が保障されていることは、すでに知られていると思います。

その背景や詳細については、以下にしっかり書かれていますが、公民権運動と呼ばれるアメリカの市民運動の流れを受けて、障がいのある子どもたちの権利を保障する基本法が1975年に成立したことがその基盤となっています。

それから間もなく半世紀。

インクルーシブ教育がすっかり当たり前になってきたアメリカですが、ニーズの多様化もあり、その形は常に変化しています。

義務教育を終えた後、高等教育を受けることを望む層も増えているようです。

特に発達障害や自閉症スペクトラム症のある子供が社会に出て自立することを目指す支援は、アメリカでもまだ道半ばといえるのかもしれません。

これまでも、アメリカでは大学も発達障害などを含む障害に対応してきてはいましたが、最近、連邦政府は大学などの高等教育機関でのインクルーシブ教育を推進するための助成金を設定。

この資金をもとに、ここUC(カリフォルニア大学)Davisで、カリフォルニア初の知的障がい者向けインクルーシブ教育プログラムが始動していました。

UC DavisのRedwood SEED Scholars Program

「Redwood SEED Scholars Program」 は、ダウン症、発達障害や自閉スペクトラム症などの「知的障害」のある人が、社会生活に必要なスキルを伸ばすことができるようにと開発された、インクルーシブ教育のプログラム。ウェブサイトによると、カリフォルニアでは初めての取り組みだそうです。

UC Davisのキャンパスで、必要な支援を受けつつ、好きな授業をとったり、サークル活動に参加したり、さらにインターンを行ったりと、他の大学生と交わりながら大学生活を満喫することができるそうです。

ただ、Bachelorの学位取得はできません。

UC Davisには自閉スペクトラム症の研究所、MIND Instituteがあり、そことOffice of Diversity, Equity, and Inclusionが共同で主導してこのプログラム開設に至ったようです。

プログラムへの入学枠は毎年12人。4年間で合計48人が参加可能だそうです。

詳しくは以下をご覧ください。

 

参加予定のお子さんの保護者の声

実はこの文章を書いたきっかけは、地元紙Davis Enterpriseのコラムニストが、自分の娘さんが秋からこのプログラムに入ることになってとても喜んでいる、と書いていたのを読んだことでした。

とっても明るい、4児の母であるこのコラムニストとは、子供が同じ学校に通っていたので以前から知り合いでした。

それもあって彼女のコラムは目に付けば読んでいたのですが、同じ学年だったのはお互いの長女同士だけで、その下のお嬢さんが知的障がい児だとは知りませんでした。

コラムでは”who learns differently”と書かれており、障がいの種類などは分かりません。

早い時期から、地元の学校で支援を受けていたそうですが、高校生活後半に入って パンデミックの学校閉鎖に直面したとのこと。

その2年間近く、オンライン授業ではうまく学習ができず、とてもつらかったようです。

ただでさえ、多くの子供にとって大変だった突然の学校閉鎖。彼女にとってどれだけ苦しかったことか、想像するだけで胸がつぶれます。

高校を卒業して、地元のコミュニティカレッジに入り、対面だった授業をとってみたものの、
将来の展望は描けぬままで、途方に暮れていた様子です。

そんな彼女が、このUC Davisのプログラムに入学することになり、とても喜んでいるということで、私も嬉しくなって興味を持ち、調べて分かったことを中心に書いてみました。

お姉ちゃんそっくり!の、4才の時の写真が可愛すぎます♡

 

アメリカの特別支援教育について

私は特別支援教育の専門家ではありませんが、各地の教育や子育については興味がつきません。今後も新聞や雑誌で見かけた、興味をひかれた話題について、伝えていけたらと思っています。

ただ、非専門家の私でもいえることだと思うのですが、ネット上で散見される「アメリカには特別支援学級や学校がない」という表現について。 

これは正確ではありません

サクラメント近郊にも、評判の良い公立の特別支援学校がありますし、私立学校も各地にあります。

ただ、日本のように障がいがある=特別支援学級・学校に入る、のではなく、「できるかぎり普通の教室で授業を受ける、そしてその体制を学校が整える」ことを基本とすると法律で定められているということです。

ですから、特別支援学級、というクラスが初めから設置されている学校は、確かにほとんどないと思いますが、「特別支援学校」はあります。

また当然なのですが、法律で定められていてしっかり障がい者の人権が守られているから問題がないのかというと、そうではありません。

このあたりについては、また機会があれば書きたいと思います。

 

 

 

 

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