アメリカで子育て

「補習校」の「本当のメリット」とは?

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子育てに忙しいみなさま、大変お疲れ様です。

きょうはアメリカなどで、永住予定の家庭の子供「補習校」に通うメリットについて書いてみたいと思います。

まず最初にお断りしておきますが、補習校といっても、カリキュラムや教科、教え方などの方針は各校で異なり、統一基準があるわけではありません。

国語だけ教えているところもあれば、国語と算数、国語と算数・社会、さらには4教科教えているところ、教科選択制のところなど、様々です。

ご承知の方も多いと思いますが、もともとは日本に帰国予定のある、海外に住む期間は一時的である家庭のために設立された教育機関です。

それでも、日本帰国予定が当分ない家庭にとっても、海外で日本の教科書で学ぶことができる、貴重な場です。

我が家は、補習校がなければバイリンガル子育てはとても難しかったと思っています。
もちろん、これはあくまでも我が家の場合です。

でももし、人から聞いた話や、ネット上のやり取りを鵜呑みにして、自分の目で確かめずに補習校を敬遠している人がいたら、メリットも分からないかもしれないなと思います。

プレスクールや子供の習い事、現地校など、親が子供のために決定すること、すべてに当てはまることだと思うのですが

何でも自分の目でとりあえず確かめること、確かめてみようとすることは大事だと思います。

特に今は、変化が激しい時代で、パンデミックも経て、補習校もかなり変わってきています。
数年前の情報はもう古いです。

 

日本語スイッチが入る場所ができる

補習校に通う一番の利点は、とにかく週に1度、半日だけでも、日本語環境に入ることができることです。

登校したら「おはようございます」と軽くお辞儀をしたり、先生や周囲の大人には少し丁寧な言葉を使ったり。

廊下の壁には日本語で書かれた作品が展示されます。

日本語を堂々と話す先輩も、下級生も大勢います。
日本から来たばかりの子もいます。

そのようなことをすべてひっくるめた 日本的な「文化」を、家庭で再現することは、なかなか難しいものです。

現地校で義務教育が始まると、英語が強くなる子も多いので、結局休み時間は友達と英語で話している子も、もちろんいます。

それでも日本の文化に定期的に触れていることで、日本的な、アメリカの学校とは少し異質な感じがすることもある環境に入ることになったとき、驚いたり、違和感を覚えたりしてなかなかなじめない、というようなことは少なくなると思います。

入学式・卒業式も大事な学びの場です。

いわば補習校はバイリンガル、さらにはバイカルチュラルになるための装置の一つだと言えると思います。

 

日本人としてのアイデンティティの部分が尊重される

アメリカをはじめとする欧米諸国がいかに多文化社会であるとはいえ、日本語を話す日本人、あるいは日系人が多数を占めている場所の中心に住んでいる日本人家庭は、それほど多くないのではないでしょうか。

いわゆる白人の多い地域では、アジア系が肩身のせまい思いをすることもありますし、ひどい場合には差別されることだってあります。

現地校の劇でなかなか主役に選んでもらえない、ということもあるでしょう。

でも補習校なら、そのような思いをすることが少なくなる子供がいます。
(もちろん、全員そうであるとは言いません)

むしろ日本人のアイデンティティを前面に出すことが奨励されます。

第二次世界大戦や日系人の歴史だけでなく、環境問題などを通しても、学習の一環として日本の、あるいは日系人の視点が取り上げられます。

子供の日本人としてのアイデンティティの部分を育てる場として、また、世の中には多様な視点があり、単純ではないということが学べる場として、補習校は貴重な存在です。

 

算数の能力が強化される

補習校というと、親が日本語の維持に非常に熱心、というイメージを持たれる方もいると思いますが、実は、補習校のメリットの一つは、算数の基礎力が強化されることだと思います。

現地校でもアジア系は算数が得意だと思われていることが多く、算数が得意な日本の子供はアメリカでも多いと思います。

(先生の期待値は、子供の学力に影響があるという研究データはあります。もちろん、算数が得意なアジア系が多いというのは、それだけで説明されるものではありません。)

でも、アメリカの学校では九九を覚えたり、計算ドリルを宿題に出したり、ということが日本ほどは徹底して行われません。

(もちろん、学校や先生によっても異なります。)

家でそれを補強できればいいのですが、親が勉強させるのは難しいことも多々あります。

日本の教科書はよくできているので、補習校の宿題をやることが習慣化し、教科書に沿ったドリルなどを、補習校のペースでやることができれば、親が学習計画を立てたり、教材を探したりなどのおぜん立てをしなくても、算数の基本が身につきやすいと思います。

もちろん、補習校入学時点でどのぐらいの日本語力があるかにもよりますし、学習習慣がどれぐらいついているかにもよります。

ちなみにこの見解を支持する研究データは今のところ、ないと思いますが、オランダ・ライデン大学で日本語を教えておられる山本絵美氏、セミナーで補習校の利点の一つとして「高度な算数・数学を学ぶことができる」ということを挙げておられました。

単純に登校日数を考えても、特にアメリカの学校は夏休みが長すぎます。
アメリカ人家庭の間でも、夏に学習の機会をうまく設定できない場合、実際に学力が低下することが問題となっています。

補習校の夏休みの宿題も大変ではありますが、適度にこなせば、そのような問題を回避することにもつながります。

補習校は「子供に勉強をさせる」手段というよりも、保護者がどう「活用」するか

このように補習校はうまく「活用」できれば、日本人家庭の子供が海外で成長する上でとても役立ちます。

この他にも、たくさんの利点があります。

例えば80年代ぐらいから続いている補習校はもう創立40年前後になっていますので、各方面で活躍している卒業生のネットワークがある、日本人保護者同士の情報交換の場となっている、などが挙げられます。

海外で、親子ともども、自分と似た家庭環境にある友達ができることは心強いものです。

そして最近は、多くの補習校で、日本に帰国することを前提とした子供だけを対象とした教育から 転換をはかっています。

補習校を支援する文科省も、多くの補習校を含む在外教育施設を取り巻く状況が、設立当初とは大きく変化してきていることを認識しているのです。

 

上に書いたメリットは、オンラインを含め、個人レッスンで「日本語」や「国語」だけを学んでいても、あるいは通信教育や日本から取り寄せた教材で勉強していても、得難いものです。

作家の冷泉彰彦氏は「アイビーリーグの入り方」セミナーで、補習校通学はアイビーリーグの入学選考で有利に働くと断言されていました。

冷泉氏は補習校で主任もされているということで、「活用」の仕方を心得ていらっしゃるのではないかと思います。

もちろん、活用するためにはいろいろな条件がそろうことも必要だとは思います。

例えば、幼少期に日本語の勉強、あるいは日本語や日本の文化そのものが「嫌い」になってしまったり、家族や周囲の人々の支援・理解が理想的と言えない環境にある子供には、補習校継続は大変だと思います。

日本語を「勉強」させようと、ドリルなどを親が無理矢理、がんばってやらせるのは結局、うまくいかないことも多いと思います。

もちろん、マイノリティ言語を子供が話したがらない、あるいは嫌いになる理由は、いくつもあり、単純な問題ではありませんのでその点は注意が必要です。

補習校のデメリット

もちろん、メリットがあればデメリットもあります。

通学や宿題の支援で保護者に負担がかかること、ボランティアで学校支援をする必要があること、またうまく家庭学習の習慣がつけられなかったり、周囲の家族を含め、環境が日本語維持やバイリンガルに好意的でなかったりすると、親子関係がこじれてしまうことさえあること、などでしょうか。

さらに、土曜日や日曜日に授業を行っている学校が多いので、他の活動で忙しいお子さんにはなかなか難しいですね。

でも、アメリカではスポーツにはシーズンがあるので、うまく調整して補習校に通う家庭も多いはずです。

我が家にとってのメリット

我が家の子供は、幼少期は日本語が強かったのですが、特に上の子とは宿題バトルがありました。

それでも早生まれで、算数は基本的に補習校で先取り学習をするパターンだったので、現地校の算数であまり苦労しなかったようです。

また、我が家は夫婦ともに日本人でこちらに親戚も全くおらず、学齢期直前に引っ越してきて、知り合いもあまりいないという状況だったので、隣の都市を中心とした日本人ネットワークに参加できたことは、自分には良かったです。

特にアメリカ大好きで移住してきたわけでもないので、そのようなネットワークは貴重だったと思います(今はDavisでの生活は好きですが…。)

ボランティアも、もちろん時間はとられますが、嫌いではなかったです。
自分にとって子育ては大変でしたから、一緒に大変だ、大変だと言いながらがんばる仲間がいたことは、ありがたかったです。

何かとあると食事会などをしていた 子供たちの保護者のネットワークには、本当に助けられました。


また、以前教育学の研究をしていた時期があったので、単純に補習校での色々な活動が興味深かったというのもあります。

中高の上級生が朝礼でしっかりしたスピーチをしたり、学習発表会で楽しい劇や芸を披露してくれたりするのを見て、うちの子もこんな風に大きくなっていくのかなあ、親としてがんばらなきゃなあ、と思える機会も貴重でした。

 

私が長女を補習校に通わせてよかったなと思ったのは

高校生最後の朝礼スピーチで

正々堂々と自分の意見を自分の言葉で述べているのをみたとき。

長男については 高校の卒業式の答辞で 自分の個性全開で、これまでの思いをユーモアをこめて表現できていた時。

そして二人に共通なのは 学習発表会という場で楽しみながら演技していた時。

ですね。

この子たちはもう、巣立って行けそうだ、多分、大丈夫と思えました。

決して優等生ではありませんでしたが、我が家にとって日本語は大事、もちろん英語も大事という姿勢を維持した結果がみえたような気がしました。

(もちろん、まだまだ大丈夫ではないこともあるわけではありますがその時は、そう思えたのです。)

 

ついでながら時々、補習校のような学校は日本しかやっていないもので特殊過ぎる、などという意見を見かけることがありますが、その指摘は誤りです。

中国・韓国系の学校があるのは想像がつきやすいと思いますが、それ以外にも英米にはポーランド系やロシア系の、まさに補習校のような学校があるようです。

最近、地元デービスの親たちが、FB上でサクラメントのオランダ、ドイツ系の学校について話をしているのも目にしました。

 

それにしても、最近のオンラインやハイブリッド教材の品ぞろえの豊富さは驚くほどで、時々、子供(まだ補習校に通う次女がいます)の活動が忙しくなったら、そのような選択肢を考えることもありかな、とも思います。

それでも、言語の基本はコミュニケーションです。

日本語、そして日本人のアイデンティティの部分が大事だと思っている家庭にとっては、お友達とワイワイ楽しむことが大事な時期、補習校は利用価値が高いと思います。

そして補習校を続けるコツというものもあると思います。

長くなってきたのでこれについてはまた、機会があれば書きたいと思います。

 

 

 

 

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