絵本の「読み聞かせ」が効果的な理由とは?

子育てに忙しい親にとって、絵本の「読み聞かせ」は 大事だと分かっていても、なかなか大変な「業務」です。

最近はネットやデバイスもどんどん進化しています。

ついつい、便利な電子機器で代用できないかな~と思うことも多いのではないでしょうか。

絵と音声によるいわゆる「読み聞かせ」と、オーディオブック(音声のみ)、読み聞かせの動画(アニメーション)を比べて、本当に親の「読み聞かせ」の方が良いという証拠があるのか、と思ったことのある人もいるのではないかと思います。

実は2018年に発表された研究で、その違いがきちんと示されていました。

 

今回はその違いについて分かりやすく説明した、NPRの記事を紹介します。

注:本記事はあくまでも研究紹介記事のざっくりとした紹介で、研究論文の紹介や、その内容について吟味したもの、あるいは記事の翻訳ではありません。研究について興味のある方は、下のNPRの記事で紹介されている 元の論文を読むことをおすすめします。

 

読み聞かせ時に子供の脳内で起こっていること

上の記事によると、音声と絵本、音声のみ、そしてアニメーション動画の読み聞かせでは、聞いている(視聴している)子供の脳の反応をみると、あきらかに違いがあるそうです。

この研究は、アメリカ・シンシナティ子供病院の小児科医・研究者であるJohn Hutton氏が、4才児ぐらいの子供27人を対象に、fMRIを用いて脳の状況を調たもの。

上の3種類のタイプの読み聞かせで、子供の脳のどの部分が活性化しているか、また脳内のどことどこがつながりを示しているかを調べたのです。

調べる対象となった脳の部位は、①言語(をつかさどる部分)、②視覚、③視覚的イメージ、そして④デフォルトモード・ネットワーク とされました。


「視覚的イメージ」とは、あまり聞き慣れませんが、要するに実際に目で見ているわけではないけれど、頭の中に像が浮かぶことを示します。

本を読んでいて、映像が頭の中に浮かんでくることがありますよね。

うちの子も、以前「読書をしているとテレビをみているみたいになる」と言っていました。

そのようなイメージに関する脳の活動のことだと思います。


デフォルトモード」とは、何もしない安静時に活発になる脳の領域のことだそうです。

 

子供の脳の発達に「丁度良い」のは?

これら4領域に現れた違いは、以下のようになります。

  • 音声のみ:ほぼ ①言語 のみが活発で、脳内のつながりはあまりみられない。

    Hutton氏によると、データは、子供が内容理解が負担だと感じていることを示唆している。

  • アニメーション①聴覚、②視覚のネットワークは非常に活性化するものの、それ以外の脳内のネットワークはあまりつながりが増えない。

    同氏によると、アニメーションの話の展開に言語分野が追いついていこうとしている状態。つまり、アニメーションで脳が過度に活性化されてしまっている。物語の理解度は一番低い

  • 絵と音声:音声のみと比べ、 ①言語 の活性化はやや劣るものの、絵がちょうどよい手がかりとなって、理解を助けている状況。

    また視覚、視覚的イメージ、そしてデフォルトモード・ネットワークの全領域で、つながりが増加している

 

結論:一番いいのは親の膝の上での読み聞かせ!

3~5歳児は、視覚とデフォルトモード・ネットワークはこれから発達していく時期で、脳の他の部分と統合されるにはトレーニングが必要であり、アニメーションばかりだと、その機会が奪われてしまう恐れがある、ということです。

また、MRIの構造上、親の膝の上で読み聞かせをしてもらっているときの脳の状況を計測することはできないけれど、それでもこれだけの差が示されたので、親の読み聞かせの効果は、今回の実験結果以上のものを示すだろう、ということです。

そしてもちろん、母語での読み聞かせがとっても大事です。

母語がマイノリティ言語でも、マジョリティ言語はほぼ確実に追いついてきます。

もし、うまくいかない!と思っているなら、ご相談ください。

 

…ということで、手抜きは他の家事などですることにして、

今日も読み聞かせ、がんばりましょう!

 

 

 

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