「宿題のない夏休み」も実は問題?
夏休みに宿題があるのは日本だけ!夏休みには思い切り子どもを遊ばせよう!
などという意見も最近よく聞かれます。
我が家でも補習校に通っているので 宿題が出されておりまして
親も子どもも宿題、大変だなーと思うことは夏休み中何度もあります。
でも3か月近くもの長い夏休みのある米国やカナダで、英語の学校だけに子どもが通っている
全家庭が宿題がなくて勉強せずとも問題なく、幸せに休みを謳歌しているかというと、
実はそうでもありません。
いくら米国などでは夏休み前にその学年一年間の勉強が修了しているといっても
1年12か月の実に四分の一近くの期間、連続して学校の勉強がなければ
学力が低下する子どももみられるということは当然以前から指摘されております。
“One approach to closing the summer achievement gap”
by Terrance F. Ross, Jul 25, 2014, The Atlantic
普段は学校に通っている子どもが長い夏休みに入るのですから、共働きも多い米国では
当然その間子どもをどうするかを考えなければなりません。
学力格差は夏休みに拡大する
ではどうするかというと、いわゆる中流以上の家庭はほぼ必ず家族旅行に1~数回出掛けます。
そしてそれ以外の平日には、子どもの興味に応じて様々な活動を体験できる「サマーキャンプ」
(テントを張って寝るキャンプ、ではなく日本的にいえば「サマープログラム」のようなもの)
を利用するというのが定番でしょう。
サマーキャンプは、地域にもよって異なりますが、安くても一週間で200ドルぐらい、高ければ500ドル程度のものもあります。
当然学力が低下する子どもは、そのような充実した夏休みを過ごせない事情を抱えており
両親が働いている間、兄姉が小さいきょうだいの世話をしながら家でテレビまたはインターネット漬け、などということもままあります。
学区によっては、学校でいわゆる補講のようなものがあることもあります。
先生に選ばれた対象生徒が夏休み、学区の校舎で2週間から1か月ぐらいの間、無料で復習や予習をしてもらえます。
このような事情から、様々な文化的背景を持つ子どもの学力格差が社会問題となっている米国では、夏休みに学力が低下するのは当然経済的に裕福ではない家庭であることが多いため、近年では問題視されるようになっています。
Photo by Aaron Burden on Unsplash
夏休みに低下する学力はズバリ「読解力」
ただ、夏休みの学力低下で問題が顕著なのはreading、すなわち英語の読む力だということも言われております。
特に高学年では夏休みに何冊か課題図書が出される(reading list)学校も多くなっているのは、このデータに基づいているのでしょう。
また、地元の図書館などで、子どもたちがたくさん本を借りてくれるよう、ちょっとした工夫をしたり、プログラムを行ったりすることもあります。
子どもの読む力は全ての学力の基本、というのはどこの国でも変わらないということです。
そしてその読む力、家庭に何冊本があるかという単純事実と相関関係があったという報告もあります。
夏休みに「読書の宿題」は、無くならない方がいいかもしれません。
でも読書感想は必ずしも必要ないかもしれません。
夢中になれる本を何冊か読む方が大事です。
バイリンガル・キッズの場合
我が家の話で恐縮ですが、まだまだ成長途上の一応バイリンガル娘(日本の小3)が最近
「読書をしているとテレビを見ているみたいになる」
と言っていました。
私がそれほど臨場感あふれる読書をしたのは、最近では「あの時」と思い出せるのは一回あるかないか、という希少な体験になっているので
(そもそも、小説の世界に没頭して読書をする贅沢な時間があまりとれていないというのもありますが)
とても新鮮に思い、それは日本語でも英語でもそうなの?と聞いてみると、そのようなことが起こるのは
「英語の時」がほとんどで「日本語でもたまにある」
ということでした。
おそらくこの子は今英語(の読解力)の方が強くなっているのかなと感じました。
少し前からそう思っていたのですがやっぱり、と確認した形です。
やはり我が家では当分、アメリカ在住予定なので 今後も、もちろん英語を伸ばしつつ、日本語維持に力を入れなければと再認識しました。
以前記事にもしましたが、バイリンガルの子どもといってもその環境は様々で、言語の発達にもいろいろなケースがあります。
ずっと片方の言語が強いケースもあれば、その時期その時期で強い言語が変化するケースもあります。
学年や他の子との比較にこだわり過ぎず、特に夏休みにはその子のレベルにあったサポートを楽しくできたら理想的と言えそうです。