夏休みが長く、新学年を迎える前でほぼ宿題も出ないアメリカでは、子どもにどう過ごさせるか、頭を悩ませる親も実は多いです。
大半のアメリカ人は、自信満々、あるいはそう見せることをよしとしているので、悩んでるの~なんて言っている人はあまり見かけませんけどね。悩んでいるとしてもその期間は短いような気がします。
子どもが小さいうちは各種「キャンプ」(休み中の子ども向け活動プログラム)に入れたりしますが、中高生になるとキャンプも子どもに拒否されることもあります。
今年我が家では、高校生(新11年生、日本では高2)と、すでに大学生の子ども2人が初めて夏休みにコミュニティカレッジ(Community College、略してコミカレ)の授業をとることにして、オンライン授業が開始しました。
いわゆる夏の大学生向け集中講座です。
アメリカの高校生がコミカレの授業をとることはごくごく、普通にあることですが、その実際の手続きについての情報は、あまりオンラインでも見かけないようだったので、書きとめておきたいと思いました。
なお、日本からコミカレに留学する場合の費用については、こちらの記事↓をご参照ください。
目次
高校生なら誰でもコミュニティカレッジの授業をとれる?
この質問の答えは、「いいえ」です。
高校生がコミカレの授業をとることが多いのは事実で、カリフォルニア州では10人に1人以上がとった経験があり、その割合は増えているらしいのですが、実は誰でもとれるというわけではありません。
高校生だったら、まず在籍する高校がコミカレや、オンラインで取得できる単位について、ルールを決めているので、まずそれをチェックします。
学校によっては、初めから高校がコミカレと提携していて、両方のコースをある程度自由にとれる場合もあります。
そうではない多くの高校の場合、生徒が高校での授業を軽視したりしないように、1年に何単位までは認めるというように、取得できる単位数の上限を定めてたり、APやHonorsのコースの単位の代わりとしては認めないとしているところもあります。
またアメリカでは特に、数学は中学校かそれ以前から能力別のクラス分けを採用している学校も多く、いわゆる数学に強い子は常に上位クラス、あるいは可能であれば飛び級を目指したりします。
本当に能力のある子にはよい制度ですが、親に強いられて、好きでもないのに上位クラスを狙うように言われているような子をけん制するためもあるのか、例えば
「夏休みに1学年分の数学を終え、クラスを一つ飛ばす」
ようなことは、高校からはあまり推奨されません。
我が家の地元の高校では、コミカレのクラス取得を奨励するメールが学校のカウンセラーから送られて来ました。
この夏(2020年)はコミカレも全面的にオンライン授業で、高校生も参加できる活動に限りがあるためだと思います。
あるいは最近コミカレとの提携を強化したのかもしれません。
また、地元高校生は完全無料で受講できました。
コミカレの授業料は、州政府のコミカレ支援状況にもよるところが大きいです。
大学生の娘は授業料を支払いましたが、数百ドルと非常に安かったと思います。
コミカレのクラスをとれる地元高校生の条件の例
このメールの説明によると、地元のコミカレの授業は、原則として地元の高校生なら無料でとれるが、主な条件は以下のようなものと説明されていました。
・10年生あるいは少なくとも16歳以上(日本の高校1年生以上、アメリカでは高校は日本の中3からのところが多いです)
・これまでの高校の成績がGPA2.7以上
・高校ではとることのできない科目
・落とした、あるいは成績の良くなかった科目をもう一度繰り返して単位を取得することが目的ではないこと
・成績表に記載することができる、高校以外のコミカレなどの単位は合計10単位まで。
⇒成績表(transcript)は、大学出願の際に提出するもので、重要な意味があります。成績がよければ、大学へのアピールになります。
コミカレの授業をとるまでの流れ
コミカレに生徒として登録
この条件に当てはまる子は、コミカレのウェブサイトに行って、とりたい科目を選ぶわけですが、その前に、コミカレに地元の生徒として自分を登録する必要があります。
試験などがあるわけではありませんが、社会保障番号(SSN)をはじめ、いろいろな個人情報を入力する必要があるので、案外時間がかかります。
登録受付の開始する前に、やっておいた方がいいです。
地元のコミカレの登録受付開始は5月末でした。
科目を選ぶ
そして、自分の興味にあった、高校生がとれそうな科目を探します。
実際に探してみると、どれをとったらいいのか迷うと思います。
高校の卒業単位だけでなく、大学に入学した後でも単位として認めてもらえる科目がいいという考えもあります。
コミカレは同じ州の4年制の州立大学と提携しており、その4年制大学に単位として認めてもらえるものはすぐわかるように表示されています。
大学で何を専攻するかもわからないのに、単位として認められるかは心配かもしれませんが、大丈夫です。
4年生の大学ではGeneral Education (GE)として必須の科目があり、これは割と一般的なコミカレの科目で、トランスファー可能と書いてあれば、GEの単位として認められるからです。(ただし、主に州立大学の場合です。)
例えばUC(University of California)の場合だと、コミカレからトランスファーする場合に単位認定される科目として以下の分野が定められています。
この中のどれかに当てはまるもので、高校生にもとれそうな科目であれば、ほぼ何でもOKです。
初めて大学の授業をとるならば、先に履修しておかないといけない科目がpre-requisitとして定められていないものになります。
1. English Communication
2. Mathematical Concepts and Quantitative Reasoning
3. Arts and Humanities
4. Social and Behavioral Sciences
5. Physical and Biological Sciences
6. Language Other than English
ちなみにうちの子どもがコースを選ぼうとしたときには、まだ登録受付開始から数日しかたっていませんでしたが、いろいろなクラスが既にwaitlilst(すでに定員に達している)になっていました。
そこでまだ登録できそうな中から、Diversity in Theaterというものを選んでいました。
上の 3. Arts and Humanities の単位になりそうです。
高校のカウンセラーの承認を得る
選ぶ科目の目途が立っても、まだ登録完了ではありません。
この科目をとることを希望することを、高校のカウンセラーに伝え、承認してもらわないといけません。
そして公立高校のカウンセラーは忙しく、週5日勤務していないことも多いです。
子どものカウンセラーは学年別で決まっていることが多いので、
カウンセラーが誰かということと、そのメールアドレス
は必ずチェックしておく必要があります。
自分の担当のカウンセラーと連絡がつかず、返信がもらえずに登録できなかった生徒も出ます。
それでも、「そんなこともあるか」で済まされるのがアメリカです。
うちの子は幸運にもカウンセラーからすぐ返信があり、その時点でコミカレの登録も完了しました。
子どもによると、オンライン授業と言っても、毎週課題が出され、質問があったらチャットで受け付けるというスタイルで、課題では指定された映画を見なければいけないものもあるようです。
こんな授業をとっていなければ、アメリカの映画にもあまり興味がない子どもなので、初めてとるコミカレの授業としては、案外よかったかなと思います。
ちなみに授業は、6月半ばから8月初めまでです。
これはあくまで一例です。
高校生でも無料でとれない科目のあるコミカレもあります。
単位が高校や大学で認められるかどうかは、必ずご自身でご確認ください。