U.S. News & World Reportの高校ランキング
アメリカの大学ランキングでも有名な米雑誌「U.S. News & World Report (USN)」は、高校のランキングも出しています。
日本では高校は義務教育ではなく、入試もあるため、偏差値によるランキングにも慣れており、ランキングそのものには強い違和感はないかもしれません。
アメリカでは高校は義務教育なので、各学区にはほぼ必ず、複数の公立高校があります。
ですからその中で、ある程度の指標を比べることがあるのは分かります。
でも、この全国レベルのランキングとはそもそも一体何なのでしょうか。
以前から気になっていたので、少し調べてみました。
「大学進学準備にどれだけ有利か」という指標とは?
日本の高校の総数はおよそ5000校前後だそうです(学校基本調査など)。
一方、アメリカの高校ランキング参加校は約1万8000校。
日本の総高校数の3倍以上にのぼる各校は、大学進学にどの程度有利かという切り口でランク付けされているようです。
生徒の大学進学準備をどの程度整え、支援してくれるのかということは、”College Readiness” という言葉で表されています。
その数値は、
①大学レベルの授業とされる、AP(Advanced Placement)や、国際バカロレア(IB, International Baccalaureate)のコースが、どれだけ幅広く提供されているか、
②AP・IBコースを履修し、試験にパスした12年生(高校最終学年)の生徒の割合、
③統一試験(SATなど)の成績、
④卒業率
などのカテゴリを基に算出されているそうです。
アメリカの中高のカリキュラムは選択制で、卒業基準となる科目は決まっていますが、
それ以外の履修は生徒の選択に任されている部分があります。
ですからAPやIBのコースを履修するか、さらに試験をパスする生徒がどのぐらいいるのかは、
各高校によって異なります。
これらのデータが明らかになっていて、それを提供できる高校のみがランキングに入っている
ということです。
USNのランキングの手法についてはこちらに詳しく書かれています。
アメリカの高校ランキングへの批判
このようなランキングは、有害で意味がないと考える専門家は当然多いです。
以下の記事によると、高校ランキングがアメリカで初めて行われたのは1998年。米紙「Washington Post」の教育ジャーナリスト、ジェイ・マシューズ(Jay Mathews)氏が作成・発表したところ、注目を集めたことから、NewsweekやUSNが追随したそうです。
アメリカの大学進学についてもいろいろな考え方があり、それに有利かどうかは本来、APの履修者数や合格率などだけで判別できるものではないというのは、いわば当然の主張です。
そのような批判もあるし、それもわかった上で利用すればいいのでは、とも考えられますが、
やはりアメリカでもランキングを気にする人も多いようです。
そうでなければ、こんなに何十年も続きませんよね。
とはいえ、日本よりは気にしない人の割合も高い気もします。
良い学校かどうかは、データだけではわからないというのは、どこでも言われていることです。
アメリカの地元の一番大規模な公立高校に、普通に通わせただけの我が家ですが、そんな一般の親がちょっと考えただけでも、例えば
カウンセラーの数とか、対応の良さ、
先生方の離職率の低さとか、
はたまた生徒の出席率の高さや、
クラブの多さ、スポーツチームの強さ、
文化系プログラムの充実度などなど、
いろいろなカテゴリが考えられます。
ですから、例えばアメリカの高校に留学したいと考えている人が、何の土地勘などもなく、アメリカの高校ランキングの順位を気にして留学先を選ぶなんてことはあまり意味がないと思います。
しかし、ランキングが独り歩きをしがちになるということも、やはりアメリカでもあります。
長くなってきたので、続きは次回にしたいと思います。
実は、アメリカの高校ランキングを最初に作成したマシューズ氏は、ただ注目を集めようとしただけではありませんでした。